Audi Kumamotoにエンジン制御コンピュータプログラムのヴァージョンアップに行く
1時間ほど待っている間にAudi 月刊誌に目を通す 興味深い文章発見・・
(H)
「美しいカラダと、その進化」
人類は、実は、「きもちの良いほう」つまり、より「官能」のほうへ進化しているのだと言う人がいる。かくいう僕もその論者であるが、かつての「生存競争」や「適応」が絶対的なダーウィン進化論至上主義の世ならば、眉をひそめられただろう。
かつて、アンビエントミュージックの祖であるブライアン・イーノに会った時、彼は「アートと食などの官能を比較する科学を、人間文明はなぜ発展させてこなかったのだろう」と言った。彼は光の中で恍惚とした体験や、香水の開発の構想を長い時間かけて、その実感を話してくれた。確かに。人類は、とても大切なことをすっかりわすれ議論し続けてきたのだと僕は思った。
快楽が、生きものを進化させていく。
いや、科学はまだ追いついていないのだろう。美しい色に変容する、発情期の魚や鳥を見るにつけ、実は人間だって、その要因があってこそ、ファッションやデザインを進化させてきたに違いないのだ。美とは、普遍の答えを出すことではなく、長く、そしてゆるやかに変わっていく、快楽の味わいにあるのだと、やっと人は気づきだした。現代アートの世界は、「個性」の違いを求め続けて、そのあげくスタイルのデッドエンドにたどりついてしまったようなところさえある。しかし僕は最近、人も自然の造形、そのエロスを味わえる年齢に達したのではないかと思うことがある。川の水流が長い時をかけ、石をすばらしい曲面体に磨きあげてゆくことにこそ重要な発見があると。
美しいカラダ、それは女性であれ男性であれ、すべての人が今もっとも大切だと思うことだろう。そして多くの人は、ナチュラルでエロティックであるためには、愛の力が不可欠だとも知っている。愛でること、愛でられること。今、その力がデザインとなり、私たちは進化していく。
Progress of the Beauty
文:後藤繁雄 (京都造形芸術大学教授)


